教養学部人間環境学科自然環境課程の藤野裕弘教授が会長を務める「湘南里川づくりみんなの会」が、6月3日に秦野市文化会館で「湘南里川づくり地域フォーラムin秦野~里川って何ですか? みんなで考える次世代に残すべき金目川水系上流域の里川像~」(共催:秦野市企画課・環境保全課、NPO法人東海大学地域環境ネットワーク、東海大学大学院人間環境学研究科・教養学部人間環境学科自然環境課程)を開催しました。毎年2月に同会がキャンパス周辺地域の市民を対象に開催している「湘南里川づくりフォーラム」の前に、今年度からは秦野市、伊勢原市、平塚市の3市で地域特性に合わせた内容のフォーラムが開催されます。今回はその第1弾として開かれたもので、秦野市の市民や市職員、本研究科・課程の学生など約50名が参加しました。
はじめに藤野教授が、市街地や農地などエリアによって異なる里川像があることを説明し、「秦野市では金目川の流域によってさまざまな団体が活動をしていますが、これらの団体が連携して学び合い、刺激し合うことで、市民の方々に里川づくりの活動を広げていければと思います。そのためにも、流域に住んでいる皆さんの声を反映していきたいと思いますので、ご協力をお願いします」とあいさつ。また、秦野市役所環境保全課課長の谷芳生氏が登壇し、市内に流れる「水無川」における里川事業や、川に生息している生物について紹介したほか、行政と里川づくりとのかかわり方について紹介しました。
続いて、秦野市秦野駅南部(今泉荒井)土地区画整理組合理事長の三杉克篤氏と、藤野教授の研究室に所属する田邊幸歩さん(人間環境学研究科2年次生)が情報提供者として登壇しました。三杉氏は、秦野市に流れる河川と遺跡群との関連性や、市内の小学生を対象に実施した地域学習の成果を発表。田邊さんは、環境省が名水として選定している全国の湧き水や、秦野盆地の湧水群39カ所をまとめた「湧水図鑑」について紹介したほか、市内の葛葉川で湧き出る湧水が生活排水による汚れを希釈し、水質が改善されている事例を報告しました。その後は参加者全員で、「思い出に残っている川」「秦野市の川のいいところ、悪いところ」「次世代に残すべき金目川水系上流域の里川像」などのテーマについてグループディスカッションを実施。「水無川は昔、工場排水が流れ込んで泡だらけで環境汚染がひどかった。人が川とどうかかわってきたのかを、もっと知る必要があると思います」「子どもが川で遊ぶことで、大人になったとき自然環境の保護について考えるようになるのでは。そのために今、川遊びができる環境を整えていきたい」など、各グループで活発な議論が交わされました。