情報通信学部

撫中 達司

IoT/M2M システムと
その応用に関する研究

研究の概要

 「インターネットにすべての機器(モノ)が繋がり、実世界と仮想世界が融合することで、新たなサービスを創出する(IoT: Internet of Things)」。世界中がその実現に向け研究開発を加速しています。ドイツでは、Industrie4.0 と呼ばれる第四次産業革命が国家レベルで推進されており、米国ではIndustrial Internet を提唱して企業、大学、各種団体がコンソーシアムを立上げ、異業種を超えて連携すべく取組みが進められています。このように世界の産業界がモノからサービスへ移行していく中、その発展を支えるのは、日本の強みである機器(モノ)の進化(スマート化)であることは間違いなく、IoT 時代を担う組込みシステム(H/W、S/W)の取組みがより一層その重要性を増しているといえます。

「スマートゴミ箱:循環型社会の実現に関する研究」

 IoT を支えるインフラであるインターネットはモノづくりの生産性を向上させる仕組みの基本インフラとして、産業の発展に大きく寄与したことはいうまでもありません。一方で、人々の生活が便利に、豊かになった代償として、環境問題という大きな課題を抱える結果となっています。このような状況を踏まえ、IoT がこれまでと異なる価値をもたらすには、人々の生活を便利に、豊かにすることだけに留まらず、再生可能エネルギー等の利用をより促進し、環境に配慮した、循環型社会の実現に寄与するものでなければならないのではないかと考えます。

 安全・安心、使いやすい、低価格などを実現する製造の仕組みに加え,共有により繰返し利用され、最後にはその形を変えて、新たなモノへと循環されていく、このような社会を築くために、IoT が担う責務は大きいと考えています。IoT は、製品製造の革新に留まらず、リサイクルや関連するサービスを含めた製品全体のバリューチェインに変化をもたらすものであり,モノのライフサイクル全体を考えた製造のあり方,売切りではなくサービスとして提供するための“共有” の仕組み,さらにはライフサイクルの末端に位置する消費されたモノの廃棄・再利用など、循環型社会の実現に向けたモノとサービスの実現に取組むべきではないでしょうか。

 本研究では㈱NSW 社の支援を得て、2016年2 月よりBigBelly と呼ばれるスマートゴミ箱を国内では初めて設置し、再生可能廃棄物(ビン,缶,ペットボトル)の回収について実証実験を実施しています。この実験を通じて、スマートゴミ箱の最適な設置,回収物の自動分別,安全対策(危険物の検知)などの課題解決に向けて取組みしています。