日本文学科・出口准教授の『汽車に乗った明治の文人たち』が刊行されました

文学部日本文学科の出口智之准教授の著書『汽車に乗った明治の文人たち』(教育評論社)がこのたび刊行されました。鉄道は明治20年代から30年代に一気 に普及し、旅の姿を一変させました。文人たちはいち早く鉄道旅行を楽しみ、その目新しい体験や、革新的な技術に接した時の感動や滑稽な失敗を交えながらさ まざまな作品にしています。本書は関東近郊の「山手線」や「中央線」「東海道線」といった路線をテーマに、幸田露伴や森鴎外、饗庭篁村や尾崎紅葉らによる 18の紀行文を収録。その多くは明治期の新聞や雑誌に掲載されて以後、改めて活字化されることがなく、現代の読者にとっては手に取りづらくなっていた作品 です。作家紹介に加え、鉄道や図版、当時の写真もふんだんに盛り込んでおり、明治時代の鉄道旅行の姿がありありと蘇り、読者を当時の汽車の旅へと誘うよう な内容となっています。

出口准教授は、「鉄道路線を題材にした紀行集の企画は、これまではなかったものです。鉄道好きはもとより、そうでない方たちも、明治と現代との鉄道事情や 窓から見える景色の違いに着目しながら読むと面白いと思います。また、人々が乗り換えに迷う様子など現代と共通するところもあります。技術革新が人々の生 活にどのような影響を及ぼし、またどのような変化をもたらしたのか。また、その後の文化にどう反映されていくのか。さまざまな作品を読みながら想像の翼を 広げて楽しんでいただけたらと思います」と思いを語っています。

【出版物概要】
書名:『汽車に乗った明治の文人たち』
編著:出口智之
出版社:教育評論社
定価:2592円(本体2400円)
頁数:286ページ

日本文学科・出口准教授の『汽車に乗った明治の文人たち』が刊行されました