医学部医学科総合診療学系救命救急医学領域が、12月8日、9日に小田原市内で開催された「第18回日本病院前救急診療医学会総会・学術集会」の事務局を担当し、領域主任の中川儀英教授が会長を務めました。同学会は、患者が医療機関に運ばれるまでの病院前救急診療医学の普及や、医師の現場出動体制の進歩を目的として活動しています。今回は、「病院前救急診療の新しい潮流」をテーマに行われ、医療従事者をはじめ、消防署の職員や大学・企業の研究者ら多数が参加しました。
8日のビジネスミーティングに続いて開かれた9日の学術集会では、初めに中川教授が登壇。「救急救命士の活動場所の拡大や医師の働き方改革によるタスクシフトなど、病院前救急診療は大きな転換期にあります。この会が情報交換と学びの場になることを期待しています」とあいさつしました。続いて、ドクターカーやドクターヘリ、院内救急救命士、ワークステーション、グラウンドナースなどに関するシンポジウムや一般口演が行われ、付属病院高度救命救急センターの医師や看護師も登壇。特別企画として、「鉄道と救急医療」と題したセッションも行われました。
さらに、効率的かつ効果的なドクターカーの運用を目指して2022年に発足した全国ドクターカー協議会のメンバーが、厚生労働省の委託を受けて構築に取り組んでいる「ドクターカーレジストリ」の進捗状況を報告。レジストリ作成委員長を務める本学科の土谷飛鳥准教授らが、全国のドクターカーの運用形態や事例を調査・分析するためのデータ収集システムについて説明し、座長を務めた本学部の猪口貞樹客員教授が講評しました。全プログラム終了後に中川教授があいさつに立ち、「さまざまな視点から病院前救急診療の新たな可能性を学べた一日でした。この成果を本分野のさらなる発展につなげたい」と結びました。
なお当日は、医学部付属病院のスタッフとともに医学部看護学科の学生も運営サポート。受け付けを担当した学生は、「学会の流れを体験的に学ぶことができました。救命救急に関する医療従事者の活動や研究に触れ、自分のキャリアについて考えるきっかけにもなりました」と話していました。