教育研究上の目的・人材像

応用動物科学科は、1980年に日本有数の農業県である熊本県の要請に応じて設置された九州東海大学農学部畜産学科を前身とし、その後2000年の応用動物科学科への改組を経て現在に至っている。その間、私立大学畜産系学科として、日本の食料基地として位置付けられた九州を中心に、全国へ卒業生を送り出してきた。前身学科では設置当初より実学を重視した教育を実施し、今日においてもその教育方針に変わりはない。畜産学科から応用動物科学科への改組は、家畜生産性の向上、家畜生産と環境問題、畜産物の安全性、生命科学の発展による新たな領域の確立、伴侶動物や野生動物の重要性等が社会的関心を呼び、畜産関係学科に対する期待や要望が増大し、かつ多様化してきたことに対応するためである。改組後現在に至るまで社会の要望する多様化傾向は変わらない。このような情勢をふまえ、応用動物科学科は人類社会と地球環境の調和を考慮しうる21世紀の動物生産を担う人材の養成を目指す。すなわち、動物生産から畜産物利用までの一連の過程を含む動物生産科学を中心にして、動物の生命科学および環境科学の幅広い学識を基に、動物生産、併せて健全な自然環境・社会環境の維持・発展に貢献できる人材の養成を図る。特に、必ずしも特定の専門分野に秀でた研究者の養成に重点をおくわけではなく、動物生産・飼育業界、食品製造業界あるいは医薬品製造業界等において社会の変化に柔軟に対応できる資質をもつ実務家として又は指導者・専門技術者として広範に活躍できる人材の輩出を主眼とする。

応用動物科学科が養成しようとする人材

世界的な人口増加による食料不足、主要な先進国の中で最低水準と言われる我が国における食料自給率さらに食料需給の不安定性などから、食料の安定的供給を確保するためには今後も国内生産を増大することが農学部にとって重要な課題となる。畜産分野において生産性の向上を図るためには、家畜の飼養管理の改善、繁殖能力の向上、自給飼料の増産、労働負担の軽減や担い手の確保、国内シェアの拡大には輸入畜産物と差別化を図る消費者ニーズにあった高品質な畜産物の生産等、今後解決しなければならない問題点も多い。また、近年牛海綿状脳症、口蹄疫や高病原性鳥インフルエンザの発生、一部企業の不正表示事件などから、畜産を取り巻く状況にはマイナスイメージが増大していることも事実である。これらを払拭するためには、従来の最終製品としての畜産物の安全性のみならず、生産から流通に至る各過程で安全性がチェックできる体制の確立が望まれている。さらに、今後持続可能な畜産を確立するためには家畜生産と環境問題との関係についても農学部における教育研究は必須のものである。一方、畜産系学科で学ぶことを志す高校生の志向は変化し、従来の畜産学やバイオテクノロジーのみならず、自然環境の保全、動物福祉分野などの教育を求める傾向が強くなってきている。

このように、農学部に対する社会の期待や要望は増大し、かつ多様化する情勢をふまえ、応用動物科学科では人類社会と地球環境の調和を考慮しうる総合的な視野と確かな技術をもつ21世紀の動物生産を担う人材の養成を目指す。すなわち、動物生産から畜産物利用までの一連の過程を含む動物生産科学を中心にして、動物の生命科学および環境科学の幅広い学識を基に、動物生産、併せて健全な自然環境・社会環境の維持・発展に貢献できる次のような人材の養成を図る。

  1. 1.持続的かつ安全な食料生産を担う人材の育成

    動物生産から畜産物加工利用までの一連の過程を含む動物生産科学を学び、21世紀に必要な持続的かつ安全な食料生産を創造し発展させることに寄与できる人材を養成する。

  2. 2.動物生命科学の発展を担う人材の育成

    遺伝学、生理学、繁殖学、生体機構学、栄養学など最新の動物生命科学を学び、動物に関わる様々な問題の解決や新たな技術開発に寄与できる人材を養成する。

  3. 3.ヒトと動物との新たな関係の構築を担う人材の育成

    伴侶としての動物、動物に対する福祉、野生動物との関わり、科学発展への動物の利用など様々なヒトと動物との関係を学び、科学的根拠に基づきヒトと動物との関係を創造し社会へ還元することに寄与できる人材を養成する。

  4. 4.自然と農山村から学んだ農業実践能力を有する人材の育成

    阿蘇キャンパスは自然に恵まれた阿蘇くじゅう国立公園の一角に位置し、周辺では畜産を始め水稲や野菜を中心とする多様な農業が展開されている。キャンパス内での学習と共に、これらの地域との交流を通して農業、自然・生態系の意義を理解し、豊かな農業実践能力を有する人材を養成する。

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