体育学部の教育研究上の目的、養成する人材像

教育目標

健康で豊かな生活への人間の欲求は、科学技術の発達、生産性の向上、労働時間の短縮、余暇時間の増大などをもたらし、我々の生活形態にも変化が生じてきている。このような社会的変化は、物質的生活を豊かにした反面、精神的緊張を高め、人間疎外感を強め、ストレスをひきおこし、身体的および精神的歪みによる様々な障害を生起させている。

こうした社会情勢のなかで、体育・スポーツに対する社会的期待は、単に、個人の健康・体力の保持増進のためだけでなく、スポーツ文化としての活動を通した豊かな人間関係の確立にも寄せられ、これらのニーズは老若男女を問わず、ますます多様化してきている。人間のライフサイクルの変化にともない、これまでの学校体育中心の体育学の領域では対応できなくなってきたことも事実である。健康でしかも体力の衰えを最小限にくいとめ、超高齢社会を生き抜くことは、社会的要求として受け止めなければならない。ここに新しい体育・スポーツ科学のあり方が求められ、生涯を通して体育・スポーツを享受し、健康・体力への願望を達成するための研究と教育が必要とされている。

幸いにも体育学部では昭和42(1967)年創設以来、今日までの間に、健康と体力の保持増進の研究・教育を通して、その原理・原則と方法を追究すると共に、これらの実践力を備え、新時代に対応できる体育・スポーツ科学や健康科学としての総合的研究成果や教育の成果を蓄積してきた。また、心身の鍛錬過程には、人間形成に必要とされる種々の要素が存在している。特に、潜在能力開発の過程では、学生個人の創造性や思考力を豊かにし、広い視野・総合的判断力が養われ、同時に友人および師弟との強い結びつきによって、良好な人間関係が形成されている。

これらの成果と創立者松前重義が示した『建学の精神』を基盤として、「体育・スポーツの履修を通じて、それらに関する知識・技能・態度を修得すると同時に心身を鍛錬し、これらの英知を生かして柔軟な思考力と幅広い視野、そして総合的判断力を有する豊かな人間性を備えた人間を育成すると共に、学問としての体育・スポーツ科学を修め、健康な社会の創造に貢献することのできる人間の育成」を教育目標の基本とする。

教育方針

健康な心身なくして、個人および社会全体の幸福はあり得ない。本学創立者、松前重義初代総長の建学の四訓を、体育・スポーツの面から具現化するべく、体育学部は誕生した。すなわち、体育・スポーツ等の学問研究を通して、広遠な思想を培い、心身を錬磨し体躯を養い、日々の勉学から智能を磨き、世界の幸福と平和の実現という希望を星に繋ごうとしたのである。こうした理念・目標を達成すべく、本学部では以下のような基本的教育方針をとる。

  1. 1.知性と教養の重視

    体育学部では、知性と教養の修得を重視する。すなわち、体育・スポーツ科学の学修を通して、知識・理解を深め、技能・態度を身につけ、もって自己の知性を高める。このことが、問題を発見したり、問題解決の方策を探ったりする際の思考能力の源泉となる。また同時に、現代文明論や現代教養科目等の学修を通して、幅広い教養を修得することを目指す。このことが、自己と他者、あるいは自己と社会との関係性を客観的に把握し、より良い人間関係や社会を構築しようとする際の基盤となるのである。

  2. 2.文武両道の推進

    本学部では、個々の全学生の内において、文武両道の実現を目指す。すなわち、上述した知性と教養の重視に加えて、体育・スポーツの実践も重んずる。自らの身体を用い、自らの身体を通じて体得された諸々の知見や技術などは、学生自身の身体と精神に極めて有益な影響を及ぼすものであり、知性・教養の修得と相俟って、彼らの全人的成長・発達を促すのである。それ故、本学部においては、課外活動も大いに推奨する。そこにおける日々の修練は、学生の心身を錬磨し、目標に向かって自己を律しつつ努力を積み重ねるという経験に繋がるのである。

  3. 3.心身共に健康な人間の育成

    人々の健康や幸福に寄与しようとするならば、何よりもまず自分自身が健康でなければならない。体育学部では、心身共に健康な学生の育成を目指す。保健・体育・スポーツ科学に関する学修は、実技にせよ講義にせよ、少なからず学生自身の現時点における健康の保持・増進に役立つ。のみならず、将来に亘って身体的にも精神的にも健康な自己を実現していくための礎ともなることであろう。そうした基盤に立って、健康で平和な社会の実現に向かって、邁進できるのである。

  4. 4.学際化、国際化、情報化に対応した教育の充実

    元より体育・スポーツ科学は、多面的な研究領域に跨がっている。本学部では、異なった専門分野を学ぶことや、他の領域との連携を重視した学際的な学問研究を積極的に推進する。また体育・スポーツは、世界の平和と人々の幸福という崇高な目標に対して、潜在的に大きな力を有している。世界に目を向け、他国との交流を進めていくことのできる国際的な視野をもった学生の育成に努める。さらには、情報化社会といわれる現在において、情報の持つ意味や本質を見極め、情報処理を適切に行い、それを有効に活用することのできる能力の育成を意図した教育を充実させる。

体育学部が養成しようとする人間

体育学部が養成しようとしている人間の全体像は上述した通りであるが、本学部には特徴を持った5つの学科が設置されており、それぞれの学科ごとにその人間像も以下の如く、明確に示されている。

体育学科

保健・体育・スポーツに関する学問研究の文化的諸成果を、周囲の人々や未来を担う子どもたちに発展的に継承することのできる「知の伝道者」の養成。

競技スポーツ学科

世界のスポーツ界をリードする高度な知識と実践能力を有するアスリート、あるいはコーチ、トレーナーとしての「スペシャリスト」の養成。

武道学科

武道の伝統文化性を後世に正しく伝承し、かつ社会において活躍できる「指導者」の養成。

生涯スポーツ学科

スポーツ、レクリエーション、健康・体力づくりなどの生涯スポーツ領域に関する知識、技能を備えた「指導のスペシャリスト」の養成。

スポーツ・レジャーマネジメント学科

文化としての「スポーツ&レジャー」を「啓発」「振興」「演出」し、人間の生き方の質を高めることのできる「実践者」の養成。

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