「猫の島『湯島』の猫たちのQOL 向上のための活動 報告会」を開催しました

文理融合学部地域社会学科の前田芳男教授(学部長)と人間情報工学科の村上祐治教授、それぞれのゼミに所属する基盤工学部と経営学部の学生らで結成したグループ「ねこだんご」が、1月22日に熊本県上天草市・湯島で「猫の島『湯島』の猫たちのQOL 向上のための活動 報告会」を開催しました。約200匹の猫が住む湯島は「猫の島」として注目を集める一方、猫の健康状態悪化が不安視されることから、学生たちは猫たちのQOL向上に向けたフィールドワークを開始。公益財団法人日本離島センターが実施する「令和4年度離島人材育成基金助成事業」(活動助成型)の採択も受けて活動してきました。

報告会には地域住民をはじめ日本離島センターや上天草市の職員が参加し、オンラインでも配信。初めに前田教授が活動に至った経緯を説明し、「地域おこし協力隊」の一員で猫の管理を担当する林愛子氏らに話を聞いて「猫の生活の質向上のために何ができるかを考えることから始めました」と話しました。動物衛生看護師の増子元美氏から動物福祉についての講習を受け、体長や体重の測定、目ヤニや鼻水、毛づやなどを調査した「身体測定」の様子も紹介。「観光客への聞き取り調査では20代から30代の訪問者が多く、友人と2~3名で訪れる女性が多数を占めていました。県内だけでなく東京など遠方から訪れる人も多かった」と解説しました。続いて村上教授と田中大樹さん(基盤工学部4年次生)、直野香月さん(同)、田畑奉門さん(同)が新たに開設したホームページについて説明しました。ページの初めに「猫ファースト(猫さん優先)宣言」として、湯島の猫と住民が幸せであるために守るべきルールを記載。同意してメーンページに移ると、実際に現地調査をして作成した島の南側の地図の上に、360度カメラで撮影した写真や、7つのポイントごとに出会える可能性の高い猫たちを配置し、林氏から提供を受けたデータや学生たちが身体測定をした記録をもとに76匹の猫の性別や色などの特徴、紹介文を掲載。9匹の猫に「GPSロガー」を取りつけ調査した行動記録も見ることができ、地域住民からも「夜中にそんなところに行っていたんだ」といった驚きの声が上がっていました。その後は学生一人ひとりが活動の感想を述べ、島の中央にある神社で販売する「猫おみくじ」の案なども紹介しました。

助成事業の審査員を務める土屋久氏(順天堂大学・共立女子大学兼任講師)は、「汎用性が高く、他の地域の見本になる取り組みとして、助成の審査会では、満場一致で採択しました」と振り返り、離島センターの水昭仁氏は、「上天草市が猫との共生に関する対応支援などを協力隊の活動として位置づけ、林さんが猫の体調改善に尽力し、そこに東海大学が加わってとてもよい環境ができてきました。猫と住民、観光客が幸せになれる取り組みは世界的に見ても珍しいと思います。トップランナーとして今後の活躍を期待しています」とコメント。リーダーの新留誠人さん(経営学部4年次生)は、「猫が嫌がったら触らない、近づかないなど、活動を重ねる中で私たちも猫のQOLを考え、意識が変わっていきました。後輩たちには現地で感じたことを発信し、よりよい島を目指してほしい」と期待を語り、前田教授は、「来年度以降も身体検査などを継続してホームページを更新していくとともに、島内の空き家や狭い道なども調査・分析して人も猫も住みやすい島をつくるためにできることを考えていきたい」と語りました。

村上教授と学生たちが作成したホームページはこちらからご覧ください。
https://mlabtokai.sakura.ne.jp/nekodango