機械工学科の研究グループが「NEDO先導研究プログラム」に採択されました

工学部機械工学科の落合成行教授と畔津昭彦教授、動力機械工学科の高橋俊准教授らの研究グループがこのほど、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)による「先導研究プログラム」に採択されました。本プラグラムは、持続的かつ強靭な社会・経済構築を目指し、飛躍的なエネルギー効率の向上を含む「脱炭素社会」の実現に資する有望な技術や新産業の創出を目指すもの。プログラムの中には、落合教授らの研究グループが採択された「エネルギー・環境新技術先導研究プログラム」のほか、「新産業創出新技術先導研究プログラム」「マテリアル革新技術先導研究プログラム」「未踏チャレンジ2050」が設定されており、将来の国家プロジェクトなどにつなげていくことも期待されています。

採択を受けた研究テーマは、「ゼロエミッションに向けた内燃機関の革新的摩擦損失低減技術」です。本研究グループでは、落合教授が取り組む流体を利用した表面テクノロジーの摩擦コントロール技術や、畔津教授が開発した機械内部の油の流れを可視化する「フォトクロミズム」、高橋准教授による複数の物質の流れをシミュレーションする「混相流解析法」を融合させ、自動車エンジン内部のさまざまな現象を解析してきました。これまでに東京都市大学をはじめとした他大学や自動車メーカー、サプライヤーによる技術協力団体「自動車用内燃機関技術研究組合」(AICE)と連携し、自動車エンジンの心臓部にあたるピストンリングの稼働中に、内部で潤滑油と燃料がどのように流れているのかを世界で初めて明らかにしました。今回採択された本研究ではこれらの技術も応用し、「マイクロバブル」と呼ばれる小さな気泡が潤滑油に含まれた際の流れの様子や潤滑に及ぼす影響の解明を目指します。潤滑油が流れる際にマイクロバブルがその流れをコントロールし、エンジン内部の摩擦損失を低減することを見据えたものです。落合教授は、「本来、潤滑油内に気泡が入ると、構造内部を傷つけてしまうなどの恐れがあるため嫌われてきました。ただ、気泡の直径を数十㎛以下のマイクロバブルとなるようにコントロールし、上手く利用することができれば、内燃機関やさまざまな機械システムのさらなる効率化を追求する技術につながると考えています」と語ります。

畔津教授は、「世界でも類を見ない新技術であり、実用化につなげられれば社会の脱炭素化を推進できます。非常に難しい研究テーマではありますが、先生方や大学院生、学生とも協力し、成果を出したい」と話し、高橋准教授は、「3名の研究者が取り組む最先端の技術を駆使し、社会貢献につなげていきます」と抱負を語っています。