情報通信学部

渡辺 晴美

次世代組込みシステムのための
ソフトウェア開発方法論と教育

研究概要

次世代組込みソフトウェア開発方法論

 組込みソフトウェアは、ロボット、自動車、スマートフォンなどの機器を動かすソフトウェアです。我々は、次世代の組込みソフトウェアを開発(作る)方法の研究を行っています。

 スマートフォンは、現在地に応じて様々な情報を提供します。例えば、利用者が東京にいる時は東京周辺のお天気情報やお店の紹介をします。SF のロボットは、人間と同様に様ざまな仕事ができますが、現在のロボットの多くは、お掃除ロボット、災害ロボットというように一つの目的しか行うことができません。スマートフォンのように、今いる状況に合わせて、ユーザが求める仕事をすることができません。ロボットを動かすソフトウェアにとって、「現在の状況に応じて適切な仕事を行う」すなわちコンテキストに応じた仕事は、とても難しいことです。

 我々の研究室では、この問題に取り組むためにコンテキスト指向プログラミング(COP) と呼ばれる最新のプログラミング技術に基づいたソフトウェアの開発方法論について、世界のCOP 提唱者や研究者と直接議論をしながら取り組んでいます。多くの高校や大学で学ぶプログラミング言語は、C 言語やJava 言語です。Java 言語はC言語が発展したオブジェクト指向プログラミング言語です。現在、オブジェクト指向→アスペクト指向→コンテキスト指向というふうに進化しつつあります。

 我々の研究は、新しい組込みソフトウェアだけではなく、現在の組込みソフトウェア開発にも役立つ技術です。組込みソフトウェアの難しさの一つは、安全・安心を得るために様ざまな状況を考慮することにあります。こうした問題を緩和することに役立ちます。

組込みソフトウェア開発の新しい教育方法

 組込みシステム技術は急速に変化しつつあり、それに応じて教材・教育方法も変えていく必要があります。教育方法の研究は、文部科学省の教育プロジェクトenPiT( エンピット) の連携校代表者として、名古屋大学、九州大学などと一緒に取り組んでいます。具体的には自動掃除機や小型ロボットなどの教材を開発し、プロジェクトベースラーニングと呼ぶ実践力を高める教育法に取り組んでいます。