医学部医学科の網野准教授がCirculation Journal Awards for the Year 2023を受賞しました

2024年3月8日~10日に神戸で開催された第88回日本循環器学会学術集会において、Circulation Journal Awards for the Year 2023が発表され、医学部医学科の網野准教授が受賞しました。

本賞の目的は、臨床研究と基礎研究のそれぞれの領域で、編集チームによって高く評価された論文を表彰することです。

選択プロセスは 2つのステップで構成されます。 第一段階として、2023年に本誌に掲載された127本の原著論文の中から、日本人副編集長44名がそれぞれの分野で科学的レベルの高い論文を選出しました。 第2ステップでは、日本人副編集者が5―13名からなる5つのグループにわかれ、独創性・心臓血管学への貢献・論文作成の方法・将来可能性の観点からさらに評価しました。

2023年は以下の7論文がCirculation Journal Awardsに選出されています。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/circj/88/3/88_CJ-66-0222/_article/-char/ja

対象論文【基礎研究部門】は以下から閲覧できます。
Heavy ion irradiation reduces vulnerability to atrial tachyarrhythmias: Gap junction and sympathetic neural remodeling.
https://doi.org/10.1253/circj.CJ-22-0527

【論文概要】
難治性の心室頻拍/細動 (VT/VF)に対する低侵襲性の定位放射線不整脈治療は、現在新たな救命戦略として注目されています。抗不整脈作用機序も徐々に明らかになりつつありますが、心房頻脈/細動 (AT/AF) における基礎的メカニズムは依然として不明です。本研究では、病態モデル動物を用いてギャップ結合タンパクの発現と交感神経支配に対する重粒子線(炭素イオン線)の影響を検討しました。重粒子線照射により、病態ウサギの AT/AF および VT/VF に対する誘発性の低下と、興奮伝導の改善が明らかにされました。この結果はコネキシン 40/43 の上方制御と幼若な交感神経の発芽の抑制に起因することが示唆されています。

【受賞者コメント】
本研究は東海大学循環器内科、同 放射線治療科、同 生命科学統合支援センター、量子科学技術研究開発機構、東京大学、名古屋大学、その他多くの研究者による多大なご支援により実施されました。この場を借りて深く御礼申し上げます。

東海大学循環器内科
同 救命救急科
量子科学技術研究開発機構重粒子線治療研究部
網野真理 

【指導者コメント】
本報告は放射線が交感神経制御にもとづく抗不整脈作用を発揮することを世界で初めて明らかにしました。放射線の未知なる生物学的効果は循環器領域における輝かしい治療オプションになると期待しています。

東海大学循環器内科
吉岡公一郎