人間環境学研究科 人間環境学専攻(修士課程)

本研究科では、違いを対立軸としない新たな「価値観」に基づく社会を「共生社会」と考え、物質至上主義や経済至上主義などに代表されるこれまでの「価値観」を再考し、「良好な自然環境と人間活動が両立する社会、人間と人間が種々の違いを認めつつ協同する社会」を構築することに重点を置きます。この「共生社会」の基盤となる人間を取り巻く環境(「人間環境」)は、大きく自然環境と人間活動からなる社会環境から成立しています。そこで、「真に豊かな人間環境」を実現するためには、「自然環境の保全を重視して人間と自然の良好な共生を目指した自然共生社会」と「文化、習慣、世代などの壁を越えた人間と人間の共生を目指した人間共生社会」を構築することが重要な課題となります。この「自然共生社会」と「人間共生社会」が両立するところに、「真に豊かな人間環境」が成立します。また、それらの課題に答えるためには、われわれの生活の拠点である「地域社会」を自然共生型、人間共生型社会とすることから始める必要があります。したがって、その「地域社会」の持つ特性を考慮したうえでの変革・整備が欠かすことのできない重要な事項となります。このような理由から、本研究科では、教育研究上のフィールドとして「地域社会」を重視し、「地域社会」における「自然共生社会」と「人間共生社会」の構築を、広い視野から考えます。

本研究科は、上記の趣旨にのっとり、「共生社会の実現を目指して、人間の生き方を再考し、豊かさの本質を問い直す」ことを教育研究上の理念とします。この理念に基づき、人文科学、社会科学、自然科学の枠を超えた学際的な視野から、持続可能な社会の構築を目指し、より実践的で、かつ地域環境政策や環境教育を軸に地域社会との連携を重視した教育と研究を行うことにより、「人間環境を広い視野で考え、共生社会構築に向けて行動できる人材を育成する」ことを教育方針とします。

教育理念(教育研究上の目的および養成する人材像)

人間環境学研究科では、違いを対立軸としない新たな価値観に基づく「持続可能な共生社会」を、「環境保全を重視した人間活動と良好な自然環境が両立する自然共生社会、並びに人間と人間が種々の違いを認めつつ文化・習慣・世代などの壁を越えて協同する人間共生社会」と定義し、その基盤となる「真に豊かな人間環境」の実現を目指して、「人間の生き方を再考し、豊かさの本質を問い直す」ことを教育・研究上の理念とします。この理念に基づき、人文・社会・自然科学の枠を超えた学際的な視野で、地域社会との連携を重視した実践的な教育と研究を行うことにより、「従来の固定観念にとらわれることなく人間環境を広い視野で考え、共生社会構築に向けて行動できる人材」を育成します。

研究科の学位授与基準

Ⅰ.獲得すべき能力

  • 人間環境に関わる諸問題を多面的に分析することができる能力
  • 人間環境に関わる諸問題を広い視野で考えることができる能力
  • 共生社会構築に向けて積極的に行動することができる素養

Ⅱ.修了要件を満たしていること

人間環境論文研究1・2・3・4を含む研究科必修科目の修得に加え、研究科選択科目の理論系および実践系科目のそれぞれについて、複数の分野から修得すること。複数分野には、自然共生分野と人間共生分野を含むことが望ましい。なお、自然共生分野と人間共生分野を含む複数の分野から、理論系選択科目は10単位以上、実践系選択科目は10単位以上修得し、併せて32単位以上を修得し、修士論文の審査並びに最終試験に合格すること。

研究科の学位論文審査基準

Ⅰ.以下の3つを学位論文審査基準とする。

  • 修士論文としての専門性を備え、修士論文テーマに関して、専門以外の学際的視点を含む広い視野から論じられていること。
  • 論文が指定の体裁で作成されていること(体裁については別途定める)。
  • 原則として、在学中に学会等で研究成果を発表していること。

学会は、日本学術会議協力学術研究団体であることが望ましい。

人間環境学専攻が養成しようとする人材(詳細)

本専攻では、「自然共生社会」と「人間共生社会」を基盤とした「人間環境」の構築に貢献しうる、総合性と専門性を併せ持った実践能力に優れた職業人や研究者を育成することを目指しています。

今日、人類は、地球温暖化、エネルギー資源の枯渇、宗教、民族、南北問題など、さまざまな問題を抱えています。また、CSR(企業の社会的責任)として環境を考えずして企業活動は成り立たなくなる時代を迎えようとしています。それ故、「共生社会」をキーワードに、将来にわたり持続可能な社会を実現していくための具体的な取り組みが求められています。この共生社会の構築による持続可能社会の実現には、社会が抱えているさまざまな問題を正確に客観的に捉え、適切な対応の方法を考え実行していく問題解決能力、あるいは施策立案や具体的行動ができる能力と経験を持った人材の育成が必要となります。

そのような人材が活躍する場とは、例えば、行政分野、特に自治体の環境関連部門、環境系企業および一般企業の環境関連部門、NPOやNGO活動、地域コミュニティーなどさまざまです。さらに、共生社会を実現していくためには、新しい社会の構成員となる次世代の若者を育成することが肝要であることから、人間環境に係わる諸問題について、中学校、高等学校の教育課程において広い視野から環境教育を実施できる教員の育成も本研究科専攻の非常に重要な使命と考えています。

人間環境学専攻の教育内容

本専攻では、「共生社会基礎」、「自然共生」、「人間共生」、「環境教育」、「ゼミナール」の5つの分野を設定し、「ゼミナール」を除く全分野において理論系の科目と実践系の科目を設置し、教育課程を次の2つの軸の組み合わせから編成しています。

第一の軸である教育研究分野は、(ⅰ)「共生社会」を理解し考察するための基礎分野である「共生社会基礎」と、「共生社会」の重要な構成要件であり、専門として扱う(ⅱ)自然環境を中心とした分野である「自然共生」と、同じく(ⅲ)人間と人間の共生に係わる社会環境を中心とした分野である「人間共生」から成ります。

第二の軸である育成すべき能力分野は、専ら(ⅰ)理論的能力と(ⅱ)実践的能力です。理論系科目は「人間環境を広い視野で考える」ための基盤となり、実践系科目は、「共生社会構築に向けて行動できる人材育成」を実現するための科目です。

カリキュラムの特徴としては、人間環境を広い視野で捉えることに加え、地域に密着した大学院として、即戦力となる人材を育成するため、理論と実践のバランスに留意したカリキュラムを編成しています。特に、「共生社会基礎」、「自然共生」、「人間共生」分野の実践系科目は、実践力の養成に力点を置き、ケーススタディ(体験や演習、実習、シミュレーション、ディベートなど)を重視し、人材育成に向けた教育に特化した大学院としての特徴を持ちます。また、「ゼミナール」分野の「人間環境論文研究1・2・3・4」が「人間環境を広い視野で考え、共生社会構築に向けて行動できる人材を育成する」核となる研究指導教員担当科目であることから、指導教員の個別指導だけでなく、専門分野の違う教員がアドバイザーとなるシステムとして「人間環境学特講1・2・3・4」を設けています。このように、理論系科目と実践系科目、人間環境論文研究の組み合わせによる教育が本専攻の大きな特徴です。

従来の理系および文系の学部を卒業した社会人の方でも、修学意欲が喚起されるよう、社会人教育に対応したカリキュラム編成としています。その対象は、NPOや市民活動、生涯学習、環境教育、地域行政、環境や福祉関連企業、ジャーナリズム、あるいは社会的責任を強く意識する企業など、さまざまな分野で活動する社会人の方々です。

【図】教育研究の柱となる領域(分野)のつながりに関する関係図