2024年フィンランド大統領選挙の行方(北欧学科教員エッセイ)

 選挙イヤーの2024年。1月の台湾総統選や11月に控えたアメリカ大統領選についても連日報道されています。フィンランドも2014年は大統領選の年です。1月末、そしておそらく2月初めに選挙が行われます。2012年に大統領に就任したサウリ・ニーニスト大統領は、2018年に再選を果たし二期計12年間に渡り大統領を務めていますが、法律により三期以上継続することはできません。日本でもよく知られたフィンランドの初の女性大統領タルヤ・ハロネン氏(在任期間2000年~2012年)、そしてロシアによるウクライナ侵攻直後にNATO加盟の決断を下したニーニスト大統領に続き、新しい大統領が誕生することになります。
 選挙は直接選挙です。現在9人の候補者が立候補しています。誰も過半数の得票ができなかった場合には二回目の選挙(決選投票)が行われます。決選投票は上位2名への投票となります。今回の選挙は支持が割れており決選投票が確実と言われています。1回目の選挙は1月28日(日)、すでに国内外での事前投票も行われました。2回目の選挙は2月11日(日)です。
 立候補者は国民連合党のアレクサンダー・ストゥッブ、中央党のオッリ・レーン、社会民主党のユッタ・ウルピアイネン、緑の党のペッカ・ハーヴィスト、左派同盟のリー・アンダーソン、キリスト教民主党のサリ・エサヤ、フィンランド人党のユッシ・ハッラ=アホ、リーケニュトというポピュリズムの小政党のハリー・ハルキモ、無所属のミカ・アールトラ(国際問題研究所所属)となっています。ロシアによるウクライナ侵攻によるNATO加盟の影響もあり安全保障・外交政策、大統領の権限などが大きな争点の一つで、21世紀以降の選挙の中では現実主義路線が目立ちます。SNSを巧みに使った選挙キャンペーンの影響も見られています。1月17日から20日にヘルシンキ新聞社が行った世論調査によるとストゥッブが22%、ハーヴィストが20%、ハッラ=アホが18%の支持を得ており*、決選投票にどの2人が進むのか接戦も予想されます。
 2024年は選挙イヤーと言われていますが、フィンランド大統領選にも注目してみてはいかがでしょうか。
*Helsingin Sanomat記事:https://www.hs.fi/politiikka/art-2000010089002.html 

(執筆担当 柴山由理子)