秦野市の「環境教育研修講座」で人間環境学科自然環境課程の岩本准教授が講師を務めました

神奈川県秦野市立の幼稚園、こども園、小中学校の教職員を対象にした「環境教育研修講座」(主催=秦野市教育委員会)が8月24日にオンラインで行われ、教養学部人間環境学科自然環境課程の岩本泰准教授が講師を務めました。秦野市では中学校までの各教育機関で、環境配慮行動のとれる子どもの育成を目的とした取り組み「エコキッズはだの」を実施。本課程では例年、学生による出前授業の実施や市の教職員向け講座への講師派遣など、さまざまな形で協力しています。今回もその一環として、2015年に国連が定めた「持続可能な開発目標(SDGs)」や、持続可能な開発のための教育(ESD)をテーマに、これらを専門に研究している岩本准教授が講演。今年度は、新型コロナウイルスの感染防止のため、WEBビデオ会議システム「Zoom」にて開催し、市内の幼稚園・こども園と小中学校から約35人の教員が参加しました。

2017年3月に公示された幼稚園教育要領、小・中学校学習指導要領および2018年3月に公示された高等学校学習指導要領では、全体の内容にかかわる前文と総則において「持続可能な社会の創り手」の育成が掲げられており、各教育機関でSDGsに関する授業が展開されています。岩本准教授は、「SDGsそのものは概念的であるため、子どもたちに理解してもらうには身近な環境問題や実際に世界で起きている事件などを切り口にすると伝わりやすい」と話し、バングラデシュで起きた劣悪な労働環境の放置によるアパレル工場の崩壊事故(ラナ・プラザ崩落事故)などを紹介。また、国連がホームページで公開している動画「コロナウイルス:自然からのメッセージ」を共有し、伝染病の約75%が由来するという野生生物の不正取引がさまざまな感染症の流行に関与し、新型コロナの感染拡大にも起因していることを説明し、「問題の根源は世界中の人々が協力し考えていかないと解決しません。SDGsの17のゴールを覚えるだけでなく、まずは現実の社会がこのままだと持続不可能であることを子どもたちに伝え、どのように変革していくべきなのか考える授業を展開してもらいたい」と語りかけました。

参加者からは、「SDGsやESDについて詳しく知らなかったので勉強になりました。地球の環境がここまで悪化しても人々がなかなか行動に移さないのは、同じように知識が不足していることが原因だと思うので、学校教育で子どもたちが学ぶことはとても意味がある。今世界が直面しているさまざまな問題について、子どもたちと話し合っていきたい」「環境問題という大きなテーマで話すと生徒は自分事として捉えにくいかもしれないけれど、中学生ならファッションに興味がある子が多いので、アパレル工場の事故はいい切り口になると思いました。今の子どもたちが社会に出たときに、学校で学んだことを行動に移してくれるような授業ができれば」といった声が聞かれました。