医学部の学生が「マヒドン王子記念賞国際会議」のラポーターを務めました

医学部医学科の学生3名と卒業生1名が、1月31日から2月2日までタイ・バンコクで開催された「2020年マヒドン王子記念賞国際会議」(Prince Mahidol Award Conference2020=PMAC 主催:タイ国政府、マヒドン王子記念賞財団 共催:世界保健機関(WHO)、世界銀行、独立行政法人国際協力機構(JICA)、ロックフェラー財団、ビル&メリンダ・ゲイツ財団ほか)に参加。各国の医師らと4~5名のチームを組み、講演やシンポジウム、分科会などの議事録やサマリーを作成するラポーターを務めました。

PMACは、国際保健に貢献した人を顕彰するとともに国際社会における保健関連の重要な課題の解決に向けて議論する国際会議で、毎年同時期に開かれています。今回は、「UHC(ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ)に向けた取り組みの加速」をテーマに開催されました。UHCとは、「全ての人が適切な予防、治療、リハビリ等の保健医療サービスを、支払い可能な費用で受けられる状態」を指します。会議にはWHOや世界銀行をはじめ、各国の政府関係者、学識者、研究機関、市民団体の代表者らが参加し、3日間にわたって講演やシンポジウム、意見交換が行われました。

鶴見譲さん(3年次生)は、「地域保健システムの強化によるUHCの達成」をテーマとした分科会を担当。「国際保健の最前線で活躍する人々と出会い、自分のキャリアを見つめ直したいと考えて参加しました。国際会議の議事録作成という貴重な経験ができたことはもちろん、他大学の日本人学生やルワンダ人医師と食事をしながら将来について語り合うなど、言葉や人種をこえたつながりができたことも収穫です」と振り返っていました。「人工知能とデジタルヘルス:好機と危険性」と題した分科会を担当した中川暁子さん(同)は、「文化や価値観の異なるさまざまな国の人々が一つの目標に向けて議論する醍醐味を体感できました。世界の人々の生活向上のために真剣に取り組む志の高い方々に出会い、大いに刺激を受けました。”医師として国内外問わず困っている人を助ける”という目標に向けて、自分が今後どの分野でどのように関わりたいのかを具体的に考えていきたい」と話していました。

石川詠美子さん(同)が担当したのは、「過渡期の保健財政:政府開発援助の持続性に向けた役割」と題した分科会です。「難しい内容でしたが、分担や段取りを決めるなど積極的に関与し、よいチームワークでミッションを完了できたことは自信につながりました。多くの人に影響を与える国際保健について、広い視点から考えるきっかけになりました。医学だけでなく、社会や政治に関する学びも深めたい」と意欲を見せていました。本学医学科の卒業生で衛生学公衆衛生学の研究員でもある岡田まゆみさんは、元厚労大臣・塩崎恭久氏も登壇した全体会議「安定的なUHCのための保健財政の構築」を担当。「赤十字や国境なき医師団の一員としてレバノン、シリア、リビアなどで難民の支援をする中で、公衆衛生の重要性を痛感しました。PMACでは東南アジア各国の医療現場の最前線で活動する医師らと意見を交わし、保健医療に関する多様な取り組みを知ることができました。現在は自治体で地域保健に携わっていますが、この経験や知り合った人々とのつながりを生かし、日本はもちろん世界のUHC実現に向けて努力を続けたい」と話していました。

指導にあたった同学科の木ノ上高章准教授(基盤診療学系衛生学公衆衛生学)は、「貴重かつ希少なチャンスに果敢に挑戦した学生にエールを送ります。今年は、人々の健康運動に取り組んだ南アフリカ共和国ウエスターンケープ大学公衆衛生学部のデビッド・サンダース氏(2019年8月に急逝)の追悼セッションがありました。この会議を経て面識を得たばかりだったので残念でした。PMACは、こうした素晴らしい人物の存在を知る機会でもあります。学生たちには、信念と情熱を持って国際社会で活躍する多くの方々と出会い、より豊かな学修を積んでほしいと願っています。過去に『東海大学21世紀保健指導者養成コース』に参加した各国の過去研修員も発表や質疑に積極的に参加していて、頼もしく思いました」と語っていました。

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