教育研究上の目的・人材像

人間環境学科の基本理念

人間環境学科は、自然環境課程(自然科学系)と社会環境課程(社会科学系)で構成されています。さらに、課程の枠を超え、環境や福祉に係わる諸問題を、人文・社会・自然科学を含めた総合的な視点から取り扱うために、両課程が融合した人間環境領域を設定し、制約のない自由な科目選択を保障しています。

本学科では、人間が人間としての尊厳を維持して生きていける環境こそ、人間環境と呼べるものであると、定義しています。それは、豊かな自然環境の中で、生きがいとゆとりのある生活が営める成熟度の高い社会環境を意味します。このような人間環境を形成するためには、「人間生活における真の豊かさとはなにか」という問いかけに答えることのできる、新しい価値観を社会が共有する必要があります。

この人間環境を形成する主要な条件は、社会、文化、自然であり、これらは渾然一体とした関係にあります。20世紀を振り返っただけでも、人間の生活水準は、急激に向上しましたが、環境悪化の代償も伴ってきました。そして現在、享受している生活環境を維持しつつ、豊かな自然を守り、健康で生きがいのある、ゆとりを持った生活が営める環境の創造を、我々は迫られています。つまり、成熟社会環境の構築こそ、これからの最大の課題といえます。それはまた、社会、文化、自然のバランスを広い視野で把握する、新しい観点から生まれてくるものです。

人間環境学科のメイン・テーマは、成熟社会環境の実現にありますが、具体的には、以下の三つに要約されます。

  1. (1)多様な動植物が生存できる良好な自然環境の維持
  2. (2)人間が世代を超え、国境を超えて手をつなぎ、社会、文化などあらゆる分野で協力・協調できる人間共生社会の達成
  3. (3)環境保全を達成するための資源循環型社会活動の拡充

これらのテーマに取り組む場合、人間環境がどうあるべきかについて絶えず疑問を持ち、幅広い視野で考え、判断し、行動することが重要となります。それは、自分自身のこれまでの生き方・これからの生き方を、問い直す作業でもあります。

資源循環型社会活動の拡充は、21世紀の世界と日本が直面する最大の課題の一つです。現在、先進国が到達している物的消費水準は、利便性が高く、快適で欲望充足的ですが、地球環境の悪化をもたらし、人類の危機を暗示させる段階にまできています。そこで、人間環境で表現される成熟度の高い社会を実現するためには、現在の物質的欲望充足型の生活から、生活の質の向上を目指した新たな経済・社会のシステムにつくりかえなければなりません。それは、20世紀型の大量生産・大量消費・大量廃棄の流れから脱却して、持続的な人間活動を可能にする資源循環型社会を拡充・定着させることにほかなりません。それは当然に、資源の質・量的利用の適正化と循環化を前提にしますが、良好な自然環境と人間共生社会の実現を可能にする様式として、十分に期待できます。

人間も地球に生存する生物の一種である以上、自然環境から切り離された無縁な存在ではありません。現代社会の歪みである、自然環境の悪化と労働の高度専門化に伴うストレスの増大、アイデンティティの希薄化による人間性喪失などは、自然環境の改善・維持と真に豊かな人間共生社会の実現によって、初めて矯正されると思われます。

それと同時に、教育においても、従来の固定観念にとらわれることのない、自由な発想による新しい価値観と真の豊かさの追求という精神が貫かれていなければなりません。また、その教育は、実社会に対応できなければならず、こうした成熟社会環境の実現を目指して、グローバルな視点をもって地域の場から、実践的教育活動を展開します。

社会環境課程の教育方針および教育目標

人材の育成

グローバリゼーションに伴なって、世界の社会・経済活動は相互に密接な関連を持ち、世界的規模で変化する傾向にあります。それゆえ、現代の社会的事象を理解するためには、先進工業国と開発途上国の間にみられる問題や、環境やビジネスの課題、また人権の視点から社会保障・社会福祉の制度・政策などについて幅広く研究し、総合的に理解する力が求められます。そのためには、既存の縦割り型に設定された専門知識を単に深めるだけでは不十分であり、それらを相互に関連づけるような学際的な研究を行い、新たな発想にもとづく問題解決能力を発揮することが重要といえます。

人間環境学科社会環境課程の教育の基本目標は、上述したような学際的な視野を広げると同時に専門領域に対する理解をも深めて、その上で利益と共に企業の社会的責任を考えることができる企業人、また広い視野から地域社会の将来をデザインできるような公務員や、NPO のリーダー等を養成することにあります。教職科目をとれば、教員になることもできます。この目標を達成するために、本課程では、我々が直面する社会・経済活動を、〈環境〉、〈福祉〉、〈ビジネス〉の領域に分けて異なった角度から分析し、それらをトータルに把握することをめざしています。

カリキュラム概要

本課程の具体的なカリキュラム編成は、経済学をベースに据えて、前述の3つの領域に沿って主専攻選択科目を配置していますが、その主な特徴として、以下のような点があげられます。

第一に、少人数制(10名程度)のゼミナール教育を通じて、理論と実践を結びつけるような総合力の育成をはかっています。たとえば、第1セメスターから履修する「入門ゼミ」では、社会科学の基本的な視点を養うと同時に、様々な社会事象に対して、学生一人ひとりが問題意識を見出せるような動機づけを行います。それは、第5セメスターからはじまる2年間の「ゼミナール」での学びに発展するものとなりますが、そこでは前述の3つの専門領域をふまえて、さらに焦点を絞った個別の研究テーマに取り組むことになります。ゼミでは、就職進路、キャリア形成を考える時間もつくります。そして個別の専門分野をより深く学ぶために「卒業論文制作」のクラスにおいて、個別の研究テーマを取り上げ、大学での学びの集大成として卒業論文にまとめることができます。

第二に、現代社会が抱える様々な問題に対処するため、多様な専門科目をそろえていることです。現代社会においては、環境や福祉、ビジネスの問題がそれぞれ独立して存在しているわけではなく、相互に複雑に絡み合っています。たとえば、環境問題を考えるとき、環境だけを単独で取り上げるのではなく、経済成長との関連で問題の解決を考える必要があります。社会環境課程ではこのような事実を踏まえ、「環境経済論」、「環境政策論」、「福祉経営論」、「NPO論」、「福祉経済論」など学際的な領域の科目を設定し、社会に存在する様々な問題を解決するためのヒントを提供していきます。

第三に、専門研究を深めるための技術的手法についても重視しています。本課程では「統計学」、「社会調査法概論」、「コンピュータ演習」、「データ分析」などの情報系科目を開講していますが、これらの科目は、学生が大学で取り組む卒業論文などのオリジナリティをより高めることにつながるだけでなく、将来、社会人としての仕事や活動にも実践的に役立つと考えられます。

第四に、学際的分野について学べるように人間環境領域科目が設置されています。たとえば環境問題について、自然科学と社会科学の両面からそれぞれアプローチできるような科目が、両課程の学生に対して開講されています。具体的には、「環境学序論」、「環境基礎演習」などが設置されています。

そして最後に、本課程では、「経済学特講」、「環境学特講」、「社会福祉特講」の科目を設置し、現代社会の注目を集めている問題について焦点を当てた授業を行っています。これらの科目のねらいは、単に知識を増やすだけでなく、履修生一人ひとりが、当該テーマについて各自の意見を持てるようにすることです。

本課程の学生には、以上のようなカリキュラム編成の特徴をよく理解して、みずから積極的に学問的な問いを探究し、現代社会を分析する目とそれをトータルに把握する力を養うことをのぞみます。

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