教育研究上の目的・人材像

芸術学科の教育方針および教育目標

芸術学科の特色

教養学部芸術学科は、人間の生活、営みにおける芸術のありかたに注目している。人間生活と芸術の関わりを追究するためには、人間にとって何が肝要かを洞察し、本質を見極める力が求められる。人びとの生活に関する広範な知識と広い視野の裏付けなくしては、芸術に関わる専門家として、社会で身を立てることは難しい。また芸術への探求を深めれば、自ずと人間とは何かと言う問いに立ち返らざるを得ない。

本学科が学際領域を扱う教養学部に設置されているのは、このような人間生活に関する総合的な視点から芸術を考察するためである。この点において、専門性によって細分化された他の芸術系単科大学や総合大学における一専門学部とは、明らかに一線を画する特徴を有している。

芸術学科の教育方針

芸術の専門性を追究しつつ、その裏付けとなる理論や社会の動向を考察し、それを深く理解する姿勢こそが、本来の芸術教育に必要な方向性だと確信している。また、細分化された専門領域の枠に学生をはめこまず、個々の自発性を尊重し、学生の適性を存分に伸ばすための開かれたシステムを構築することも、芸術教育に不可欠な要素だと考えている。

芸術学科では先に挙げた特色を明確なものとするため、芸術の基盤となる創作活動の教授はもちろんのこと、芸術諸分野の相互関連をはじめ、芸術の周辺や生活に関わる学問領域を学ぶことのできる自由度の高いカリキュラムを提供している。

私たちは学科開設以来、これを学科の教育方針とし、大学に求められる本来の芸術教育の実現のため、たゆまぬ努力を続けている。

芸術学科が養成しようとする人材

本来の意味での芸術教育を完遂するためには、専門性の深化も必要であることは言うまでもない。芸術学科には「音楽学課程」「美術学課程」「デザイン学課程」の3課程を設置しているが、それぞれが学科と呼ばれてもよいほどの教育内容を有し、各領域の専門家を世に送り出そうとしている。

ここで言う専門家とは、旧来の狭義の芸術家ではなく、広範な視野を持ち21世紀の社会からの負託に応えることのできる人材を指しており、演奏家、作曲家、美術家、デザイナーはもちろんのこと、アートマネージメント、音楽療法、美術療法、プランニング、プロデュースなどの芸術的専門性が活かされる専門職の養成を、私たちの教育の目標としている。

また、より高度な専門性を獲得したい学生のために、大学院芸術学研究科と一体となった教育プロセスを準備し、研究者を始めとする専門職の養成にも努めている。

音楽学課程の教育方針と教育目標

本課程は教養学部創設以来、総合大学における音楽専門教育機関として、音楽の専門性を追及しながらも、視野を広げ、それらを多角的に捉え、さらに総合していく教育を特色としている。すなわち、音楽の活動を孤立した状態で捉えるのではなく、人間生活全体の大きな枠の中に見据えていく視点を根幹に置いている。そしてそこから、音楽、あるいは音楽活動を立体的に、且つ動的に認識できるような資質を備えた人材の養成を図るためにも、実技系列と学問系列とを一体化し、相互に関連付けたカリキュラムを置いている。

音楽実技に関しては、「ピアノ」「声楽」「器楽・作曲」「専門実技」と言った科目を設け、チェンバロ、フォルテピアノ、パイプオルガン、ヴァイオリン、ヴィオラ・ダ・ガンバ、箏、管楽器、打楽器などを修得することが出来る。これらの実技では、それ自身が修練の目標となり得ることは言うまでもなく、本課程でも徹底した個人指導を行うことは勿論であるが、それが技術のみに偏ることなく、理論的な知識を踏まえて体験されることが必要と考える。

また、一方、学問系の探求においても、実技の生きた体験が反映されることが、望ましいあり方と考える。

以上のような基本的理念に基づき、第1セメスターから開始する「フレッシュマンゼミ」、「音楽学概論」「ゼミナール」を教育の柱とし、専門実技を含めたその他の学科目の指標として位置付けると共に、それらの集大成の機会として「卒業研究」を全ての学生の必修とする。

このような基本的な教育目標に加えて、本課程では音楽の新しい分野にも積極的に取り組んでいる。

その一つは、近年注目を浴びてきている、音楽と医療が結び付いた〈音楽療法〉である。音楽療法は、欧米諸国においてすでに公認され、我が国でも認知されつつある。当音楽学課程は、学園内に相互連携が可能な医学部、健康科学部、医療技術短期大学等を有し、その教育を行うのに最も恵まれた環境にある。2001年度からは「音楽療法概論」「音楽療法治療構造論」「発達心理学」「臨床医学各論」「障害学」など音楽療法関連科目を大幅に取り入れ、〈音楽療法士〉養成のためのコースにふさわしいカリキュラムを組んでいる。

もう一つの新たな試みも、社会の変化に伴い、音楽に対し求められてきている期待に応えるものである。現代の著しい技術革新と情報化の波は、否応なく我々の生活環境の激変を招いている。音楽活動にもコンピュータとの関連や、多様化した音楽情報の氾濫など、種々の新しい要因が認められて来ている。このような社会の動的な状況を踏まえて、「音楽著作権」「音響メディア技術」「マルチメディア演習」「コンピュータミュージック」等を各セメスターに渡って導入した。

最後に外国語教育に関しては、本課程の教育の基本の一つとして、文化、歴史に対する学生の幅広い視野を築く上で、重要な意味を持つものと認識し、一層の充実を図っている。したがって単なる語学教育としてではなく、思考の深化および感性の開発を進めるためにも、専門科目としての「英語文献講読」を置き、授業では教育効果を上げるため、複数の教員で担当している。

音楽学課程が養成しようとする人材

音楽学課程の用意するカリキュラムは極めて多岐に渡るものだが、これはとりもなおさず音楽を幅広い視野から捉えることによって、今日「音楽」や「音楽活動」が抱える様々な問題に対して積極的に対処できる人材を養成しようという意図に基づくものである。学生が音楽のどの分野に自らの専門性を見いだしていくかは、学生自身の主体性に委ねられている。演奏家や音楽療法士、教員、社会と音楽家とをつなぐコーディネーターなど直接音楽と関わる者は勿論だが、一般の企業などを進路に選ぶ者でも、創造的な感性を自ら発信できる、そのような人材の養成も目指している。

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