教育研究上の目的・人材像

教育目標および教育方針

1.立脚点

文明学科の教育目標は、故松前重義先生の遺訓「若き日に汝の思想を培え」この一語に立脚する。先生は、あらゆ る物事が数値化・記号化され、常にマニュアルのもとに運ばれ、全てが商品化されていく現代社会に順応した、悪 しき専門人になれとは説かなかった。むしろ一歩を退いて、悠久の時間軸において現代社会を捉え返し、たとえ未熟 であっても自分なりの見方で問題を考えていく構想力・想像力を身に付けた人格となることを望まれた。文明学科は、 これに応えられる学科でありたい。

2.東西の哲学・思想の素養

学生には、東西の哲学・思想についての基礎的な素養を体得してほしい。現代社会は、人間・個人・主体・理性と いうような観念を核とした近代ヨーロッパの合理的な思想によってもたらされたものだとしてよい。しかし言うまでもないことであるが、人類の知的な営為は、それに尽きるものではない。それらを知らずにいることは、もったいないではないか。授業で触れられることは、そのほんの一部ではあっても、そこから各人の関心に応じて、東西の哲学・思想の豊かな遺産をじっくり味わっていくことは可能である。それはまた、現代社会を支えている考え方の個性や意義を再確認させてくれるかもしれないし、批判的な克服への洞察を与えてくれるかもしれない。

3.現代への文明論的な見方

学生には、東西の哲学・思想についての基礎的な素養を基盤として、今日の地球規模の多様な問題の一端を、自分 にとっての切実なものとして受け止め、自分なりの見方から考えていってほしい。授業では、科学・国際政治・宗教・都市・環境・ジェンダーといった視点から、複雑で巨大化した現代社会を読み解くことが試みられる。それらは最先端の専門家であっても分析することの難しいものばかりであるが、逆に自分たちの生活の中から問題を見ていくことで、思わぬ視野が広がるかもしれない。身近なあれこれの問題が、実は地球規模の問題と繋がっていることを発見するだけで、周囲の景色が今までと違って映ってくることがある。これは、わくわくする発見である。

4.言葉への感性

哲学・思想の学習では、何が語られているのかを読み取ることが大事であるが、なぜそれが、この言葉(概念)で 表現されなければならないのかを突き詰めることが一層重要である。現代社会の地球規模の問題を、身近な生活の中から考えるにあたっても、基本的には同じことが言えるだろう―なぜ、この言葉なのか。そしてそれらについて、 自分はこう考えるという内容を他者に伝えるためには、正確で過不足ない言葉を選ばなければならない。文明学科は学生に、とくに卒業論文の執筆を通じて、そういった意味での言葉への感性を磨き、正確に自分の考えや思いを伝え る技術に習熟して欲しいと思う。そしてそれは、間違いなく一生の財産になる。

5.文明学科が養成しようとする人材

日々の生活に流されることなく、東西の哲学・思想についての素養を基礎に、自らの生活の中から現代世界の諸問題を自分なりの視点で考え、それを的確に他者に伝える能力を持った市民となる、そういう学生を育てたいと文明学科は念願している。

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