文学部

歴史学科 考古学専攻

先輩・卒業生からのメッセージ

文学部歴史学科考古学専攻を目指す皆さまに向けて、先輩・卒業生からのメッセージです。彼ら、彼女らの具体的な想いや経験談を聞いて、これからの大学生活を思い描くヒントにしてみてください。

4年次在籍
渡邊 皓人さん

頭の中の考古学が、目の前にある

教科書で見たことのあるものに、実際に自分の手で触れたことがありますか? 私はありませんでした。また、学んでいることのイメージがつかめないと、勉強しているという実感が持てないといった経験がありました。

しかし、考古学専攻では紙でしか勉強してこなかったモノに自分の手で触れ、感じながら学ぶことができます。しかも、東海大学の敷地の下には遺跡が眠っているのです。想像できますか?

教科書の中の写真が飛び出したかのように、モノが教科書になることもあります。遺物に触れることで、何千何百年前もの人々の生活の片りんを垣間見ることは、私がこれまで何かを学ぶということからは経験してこなかったことです。今まで紙や頭の中にしかなかった世界が目の前に広がっています。

新しい視点を得ることができる考古学

大学に入学するまでは予備知識がほとんどないまま、「考古学」という分野に足を踏み入れましたが、今まで学んできた知識と関連していることも多く、「この人は考古学の分野でこのようなことをしていたのか」と、思わぬつながりが見えて、授業のたびに驚きを得られます。専門用語が多いイメージを持つ方も多いかもしれませんが、先生方が一つひとつ丁寧に解説してくださるため、用語に圧倒されることはありません。

授業の中で実際に遺物や遺跡に触れることもあり、大学校地内遺跡出土の土器や石器などを間近で見ることができます。また、希望すればフィールドワークは1年次から参加することができ、考古学の予備知識が少なくてもそれまで授業で学んだことに加え、先生方からしっかりと説明を受けるため、有意義で楽しいフィールドワークが体験できると思います。

考古学はものを通して過去の人類について考え、学ぶたびにものの見方や捉え方について考えさせられる学問です。ここでの学びの中から、自分に必要な新しい視点を得ることができるのではないかと考えています。

岸 あゆ奈
3年次在籍
岸 あゆ奈さん

黒澤 周平
4年次在籍
黒澤 周平さん

考古学が教えてくれること

私は考古学について詳しいというわけではなく、「発掘をする学問」という漠然としたイメージのまま入学を決めたので、考古学専攻での学びはゼロからのスタートでした。

授業では、高校までの日本史、世界史の教科書で言えば、その最初の数ページを4年間かけて詳しく学ぶことになります。また普通であれば博物館などでしか見ることができない土器や石器に実際に触れられるので、高校までとは全く違う経験をすることができます。

また、一見考古学とは関係のなさそうな学問からのアプローチが、過去の人々の暮らしを解き明かす新たな発見の糸口となることも授業を通して学びます。多くの視点をもつことの重要性を考古学は教えてくれます。

1年次の夏休みに、初めて参加した発掘調査では、右も左も分からずとても苦労しましたが、貴重な体験をすることができました。考古学の学びと体験は今までのものとは一味も二味も違います。

考古学に興味のある皆さん、ぜひ私たちとともに学びましょう。

考古学を仕事にする

考古学を職業として選んだとき、どんな仕事があるかご存じでしょうか。皆さんのもっとも身近なところでいえば大学の先生、そして博物館の学芸員でしょうか。しかし、おそらく数として一番多いのは、役所などで公務員として働く埋蔵文化財専門職員でしょう。私もそのうちの一人です。

日本には約46万か所の遺跡(法律用語では埋蔵文化財包蔵地といいます)があり、その多くは今、私たちが生活をしている足元にあります。そのため、家や道路などをつくる際に遺跡が壊されてしまうことがあります。そういったときに活躍するのが埋蔵文化財専門職員です。工事が行われる前に発掘調査などをし、遺跡を記録として残していくのです。

私はもともと外国考古学が勉強したくて東海大学に入学し、修士論文はインダス文明について書きました。しかし、今の仕事では名古屋の歴史、しかも旧石器時代から近代までの幅広い時代を扱っています。一つの地域にとことん向き合う、これはインダス文明を研究していたときに通じるものがあります。

考古学を学んだからこの仕事に就くことができ、経験が仕事にも生きています。

眞鍋 直子
名古屋市教育委員会文化財保護室 学芸員
眞鍋 直子さん

2012年度大学院修了