教育研究上の目的・人材像

教育方針と教育目標

教育目標

日本文学と日本語についての幅広い教養を身につけた人間を育てること

今、わたしたちの周囲では、ものごとが、めまぐるしくうつりかわっています。昨日信じられていたものが、今日疑われ、今日生まれたものが、明日には忘れられてゆく。そのような時代の中で何を残し、何を生み出せばよいのか。ひとりの人間として、きちんとした考えを身につけることは、とても大切なことです。現代社会の中で古くから伝えられた良いものが失われつつあるとき、日本の文学とことばにささえられた幅広い教養を基礎として、伝えられてきた大切なこと=〈伝統〉を生かした新しい提案ができる人間を育てること―それが幅広い教養を身につけた人間を育てるということの意味です。

日本のことばは、日本の文化そのもの、日本文化の根幹を形作ってきました。特に、書き記されたことばは、時間を超えて、わたしたちに様々なことを語ってくれます。中でも、文学こそ日本のことばでもっともよく日本の人々の心を表現してきたものと言えるでしょう。『万葉集』や『源氏物語』、夏目漱石の小説など、日本の様々な文学作品は、文化を蓄積する知の貯蔵庫として今日のわたしたちの考え方や情感を、陰に陽に支えています。そればかりではなく、それらは今日、世界に向けて発信し、誇ることのできる日本文化の宝であり、力なのです。

日本文学科は日本文学と日本語について学ぶ学科ですが、日本文学と日本語についての幅広い教養を身につけた人間を育てることで、現代日本社会の文化状況に対峙して新しい提案ができる人間を育てること、伝統を生かして新しい社会を作る人間を育てることを教育目標としている学科なのです。

教育方針

〈読む〉という行為―文学を〈科学〉する

日本文学科は日本の文学とことばを読み、分析する学科です。それは一種の〈科学〉です。わたしたちの〈科学〉は、日本の文学や日本のことばを客観的に観察して、現代的価値観とは異なるものとしてうけとめ、その中からわれわれにとって意義あるあらたな価値観を再発見する営みです。〈読む〉ことの生産的な意味がそこにあります。それはテキストを各時代固有の歴史的存在として客観化して、未来に向けて開いてゆく秘められた可能性を〈発見〉する作業であるといえるでしょう。そのような営みの基礎として〈読む〉力を養うこと、〈読む〉ための様々な技法を身につけることが、「日本文学を科学する」ことであり、日本文学科を他の学科と区別する特徴です。

学びの特徴・特色

対話を重視した少人数編成による学習環境

日本文学科がめざすのは、〈読む〉訓練の中で論理的な思考とそれを適切に表現していくコミュニケーション能力を自在に操ることのできる人材を育てることです。自分の考えを述べ合いながら文学や日本語についての理解を深め、お互いに力をのばしてゆくためには、教員と学生、学生同士の対話を促進させる少人数制の教育環境が有効だと考えます。それは、和やかに心許しあい、また真摯に討論できる学習の場です。日本文学科では、能力養成段階に応じて、多くの科目に演習(ゼミナール)形式を採用していますし、講義科目といえども学生の声を汲み上げる様々な工夫を施して対話の中から考えを導くことを重視しています。

東海大学型日本文学研究

東海大学日本文学科は設立の最初から、「国文学科」という従来の名称とは異なる「日本文学科」を称してきました。それは古くからの学問体系を尊重しつつ、世界の中の日本文学を見定めようとしたからにほかなりません。わたしたちは、世界的な視野から、様々な視点で、日本文学に科学的分析を加えます。江戸時代以前からの伝統がある訓詁注釈の技術を受け継ぐと共に、最近の外国の文学の評論技法も用い、さらには他学部・他学科履修で学んだ成果をも生かした複眼的思考で対象に臨むように指導しています。書店で入手できるテキストはもちろんのこと、付属図書館桃園文庫に所蔵された古典籍(写本や木版本)や市販の複製本などを利用しながら、体感的に対象に近づくBL一方で、コンピュータを文房具に用いて研究(分析・論理化)や表現(プレゼンテーション)の可能性を追求しています。上代・中古・中世・近世・近代という従来の時代分けを守りながら、一方ではそれらを脱した、文学とことばに関連する幅広い科目も設定することで、対象に多角的にアプローチする機会を学生に与えています。

体験型教育プログラム

多角的なアプローチは対象への視野や視角だけではありません。上に述べたように古典籍(写本・木版本)に実際にふれたり、文学の舞台の地を訪れたり、歌舞伎・能を観劇したりするなど、体験型学習の科目、学科行事を設けて、実感の得られる学習環境を整えています。ともすれば理論や観念だけにおちいり、現実から遊離してしまう危険性を、身体を通して感覚に訴えリアルな感性を育て上げることで回避し、あわせて学びの場に知的な興奮に満ちた楽しさを導いています。だから東海大学の日本文学科の学生は活気にあふれているのです。

副専攻や他学部・他学科科目が卒業単位に生かされます

東海大学日本文学科では、副専攻や他学部・他学科科目の履修もできます。総合大学としての利点を生かし、様々な学習環境を学生に提供しています。文学部の中には、姉妹学科である文芸創作学科があり、文学や映画、編集などを対象として創作的視点から講義される科目が受講できます。また、広報メディア学科で新聞・雑誌などのマスメディアについて勉強したり、歴史学科日本史専攻で日本文化の歴史についての授業を受けたりすることもできます。もちろん、体育学部や教養学部や理学部の授業で、他学部の学生に公開されている科目も受講できます。また、日本語教育の副専攻科目などもあるので、外国人に日本語を教えることに興味がある方は受講してみるとよいでしょう。そして、これらの科目は修得すれば卒業の単位として生かされます。

さらに勉強を積み重ねたい方のために大学院も用意されています。毎年6月頃に大学院進学ガイダンスを催し、進学を希望する学生には適切なるアドバイスがされています。学部の成績が優秀であれば、推薦で無試験入学することもできます。

卒業論文というゴール、そしてスタート

以上のように東海大学型日本文学研究は、幅広い視野で様々な体験を通じて、多角的に対象を捉えることができることを特徴とします。その集大成が卒業論文です。学生ひとりひとりの宇宙ともいうべき卒業論文は、あらゆる科目のゴールとして日本文学科が最も重視する科目です。機関誌や発表会などの場を通じて、このような学生の学習成果を広く社会に公開してゆく用意もおこたりません。それは大学を巣立つ学生が未来をひらく第一声なのです。

日本文学科が養成しようとする人材

「教育目標」で述べたように、日本文学科は「日本文学と日本語についての幅広い教養を身につけた人間を育てることで、現代日本社会の文化状況に対峙して新しい提案ができる人間を育てること、伝統を生かして新しい社会を作る人間を育てること」を目標としています。具体的には、(1)日本文学と日本語についての適切な知識と幅広い教養を身につけ、それらを次代を担う中学生・高校生に伝え、導くための表現力と指導力を持った中学校・高等学校の教員を養成する、(2)日本文学や日本語についての正しい知識や幅広い見識を持ち、それらを市民の啓蒙のために役立てることのできる、図書館司書や社会教育主事、博物館等の学芸員を養成する、(3)現代社会における様々な困難の中で、伝統を深く理解し、豊かなコミュニケーション能力から、新しい提案のできる、有為な社会人を養成することが日本文学科の目標です。

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