理学部

数学科

先輩・卒業生からのメッセージ

理学部数学科を目指す皆さまに向けて、先輩・卒業生からのメッセージです。彼ら、彼女らの具体的な想いや経験談を聞いて、これからの大学生活を思い描くヒントにしてみてください。

齊藤 芽瑠
2020年度卒業
齊藤 芽瑠さん

数学を深く学べる場所

高校生のとき、私の得意科目は数学ではなく英語でした。高校数学は難しいし、正直今も苦手です。どの定理や証明をみても「なんで?」が止まらないのです。友達や先生に聞いても、「そんな深く考えなくて良くない?」、「それは大学でやるから」ばかりでした。たとえば、極限の授業において「xを∞に飛ばすと…」と先生がおっしゃっても、「∞ってそもそもどこからが∞になるの? ∞は目に見えないし、数字じゃないなら何?」と、とにかく疑問が尽きませんでした。そういった不思議な点が解決されないまま、ただただ計算し答えを導くことにも疑問を感じました。
私は、もっと数学を深く知りたいなと思い始め、数学科への進学を決めました。しかし、初めての数学の授業は本当に地獄でした。「大学では、高校で習った曖昧な表現を徹底的に排除します」と先生がおっしゃって、黒板に書きだした文字は訳の分からないギリシャ文字とアルファベット。それがずらっと並んでいて、「これが大学で習う定義だ」と言うのです。新入生に対する新手のいじめかと思いました。それから、ほぼ毎日放課後は残って、1人で何時間も悩んだり、友達と議論しては先生に質問しに行き、また悩んだりを繰り返していました。理解が追いつかず、苦しいと思うときも何度もありましたが、友達と議論をして、やっと答えを出せたときの達成感や嬉しさはなんとも言えませんでした。それまでの苦労も吹き飛び、自らの力で解決できたという自信がつきましたし、何より数学の深さに感動しました。そういった感動が、何時間も何日も考えたその先にあるのを知っているからこそ、私は考えることをやめたくないと思いました。
この数学科では、優しくて面白い先生たちが気軽に話しかけてくれたり、友達と議論している中に一緒に入って丁寧に教えてくれます。また、この大学は、設備も整っており勉強しやすい環境にあります。良きライバル心をもち、お互い向上し合える友達、尊敬できる先生方にも出会え、私はこの数学科に入学して良かったと心から思っています。

大学生活で得たもの

大学生活の4年で学んだことは数多くあります。その中でも私はこの大学で数学的な見方や考え方を育むことができたことはとても誇りに思います。普通の人は大学の数学科というと常に数字を扱い中学校や高校で学んできたことが飛躍する内容を学ぶと思われるかもしれません。確かに大学では今まで学んできたことが主となってその内容について深化させます。私も大学生になってから2年間くらいは今までの勉強となんら変わらないと感じていました。しかし4年次になってからゼミという活動を通して数学という学問の捉え方が変わりました。今まで普通に使ってきた定義や定理について疑問をもつようになったのです。教科書や参考書に載っているあたかも当たり前のような文章にも疑問をもち、それについてゼミで協力して話し合い一つひとつ疑問を解決していきました。このような何事にも疑問をもつことは数学的な見方や考え方なのではないかと思います。
私はこの数学的な見方や考え方を通して物事の本質について考えるようになりました。つまり、人の行動や発言からその人はなぜこのように考えるのか、なぜこのように行動するのかを疑問にもつようになり、そこから何をしたいのかを見抜き課題の解決に努めました。この物事の本質を考えていくことは社会に出てからとても大切な能力の一つだと思います。
私は中学校の数学の先生になりました。そこではたとえば生徒に授業をする時間や一緒に遊ぶ時間などがあります。このような時間は1秒も無駄にしていいはずがありません。つまり、考えや目的をもたず行動していい時間はないのです。さまざまな生徒が常に成長するために私は自分の行動をより良くしていく必要があります。そのためには数学的な見方や考え方である一つひとつのことに疑問をもち学び続けていくことが不可欠です。このような社会に出てとても役に立つ能力をこの数学科で培うことができたのは私の一生の宝物です。ぜひ入学される皆さんも社会に出てから役に立つ能力をこの大学で培ってください。

古里 智秋
横浜市公立中学校 専任教諭
古里 智秋さん

2016年度卒業