先端医科学専攻(博士課程)

本専攻の教育研究上の理念・目的は、高い専門性と強い研究志向を持ち、社会の指導的立場を果たすための良識と倫理観を持つ医学および生命科学分野の研究者、専門医を養成することです。臨床医学に具体的に還元する研究テーマを進んで作り上げていくことも大きな使命であり、研究推進と専門医取得のための教育を同時進行するための先進的な教育プログラムも提供しています。

この専攻では狭い専門分野にとらわれることなく、医学と生命科学全体を思考でき、自由な発想に基づいた研究を推進できる研究者および臨床各分野の専門医を育成することを目標にしています。

先端医科学専攻は、5専攻設置されていた旧来の博士課程を統合して、2005年度に新たに設置された医学研究科における唯一の博士課程専攻です。多くの大学に設置されている医学研究科の大学院プログラムでは、臨床医学系専攻や、基礎医学系の○○専攻、××専攻等の専門分野などに分けられていますが、東海大学大学院医学研究科ではそのような学問分野による専攻の区分けを全く撤廃した新しいプログラムを作りました。このプログラムを必要とした背景には、最近の生命科学および医学研究の進歩の流れの中で学問、研究の分野を区別することが無意味になってきたということが挙げられます。例えば内科系の或る病気の研究をするにも、また、かなり基礎科学的な或る細胞の機能を研究するにも、そこで用いる技術は組換えDNA技術であったり、またタンパク質の構造機能の研究であったりと共通した点が多くあります。遺伝情報を健常者と患者で比較するような基礎医学での情報統計学は臨床情報を診療情報として薬の効果と副作用のグループ分けをする際にも非常に重要で、基礎臨床を通じた学問分野が新たにクローズアップされています。したがって最近の医学・生命科学の研究は、研究者によって扱っている対象および目的が異なるだけで、手法、思考には大きな違いはないのです。

先端医科学専攻は、医学部を含む6年制大学を卒業した者、大学院修士課程を修了した者、およびこれらと同等の能力を有すると認められた者が募集対象者です。本研究科は一専攻制であるため、学生諸君は自由に指導教員を選ぶことができます。例えば本研究科の医科学修士課程を修了した学生(医学部卒でない者)が、内科や外科の指導教員を選んで各々の分野の研究をすることが可能です。また場合によっては入学後に指導教員を変更し、自分に合った研究指導を受けることもできます。

冒頭でも触れたとおり、先端医科学専攻の教育方針を定める上でその大きな目標となっているのは、将来的に先端医学・医療に係わっていくような研究者あるいは研究マインドを持った専門医を養成するということにあります。本専攻で展開されるプログラムでは、将来、生命科学としての医学を追求する道、臨床医学の発展に貢献できるような医学応用を追求する道、また国際医療、医学統計、コンピュータ科学などを追求する道なども開かれています。このように先端医科学専攻は、狭い専門分野にとらわれることなく、医学と生命科学全体を思考できるような、そしてまた自由な発想に基づいた研究を推進できる研究者を育成することを目的とした大きな特徴があります。

基礎研究だけでなく臨床研究もますます重要性を増してくるわけですが、患者情報を扱う際の倫理性は特に問われます。修士課程の医科学専攻とともに文部科学省の大学院教育改革支援プログラムに2008年度より3年間採択されたプログラムでは、これらの倫理性を兼ね備えた大学院生を育成することを目指し、その一環として生命倫理に関するe-learning教材を開発しました。また、他の9大学とともに2012年度よりがん専門のプロフェッショナルを育成するプランに採択され、本研究科ではがん専門医を育成するコースを設けています。

このような先端医学に係わる研究者を目指すために準備されたカリキュラムは多彩である一方、学生諸君が選択し易いように柔軟に組み立てられています。科目は研究における基礎的な知識を学ぶ科目を中心に必修科目と選択科目とで構成されています。必修科目は7科目と少数とし、その一方、選択科目は全92科目におよぶ多数を用意しました。これらは、本専攻が単一専攻であるために、臨床実習を伴う一部の科目を除いては特に履修制限はなく、別に定められた修了要件を満たすよう留意しつつ、学生はこれらの科目の中から自分の興味に合った科目、研究テーマに沿った科目、教養として修めたい科目などを自由に選択することができます。中には科学英語、医学教育などという科目も設定されており、将来研究者・医師・医療関係者もしくは大学教員となった際に即戦力となるようなプログラムが準備されています。これらには一つの科目を複数の教員が担当するという特徴があります。したがって、例えば分子細胞医学という科目を選択した場合、遺伝子、分子生物学、タンパク質機能構造、細胞生物学などと異なった専門を有する複数の教員から指導を受けることができるのです。

さらに、2009年度からは夜間授業を多数開講するとともに、e-learningを取り入れ、臨床現場での修練を積む臨床系の大学院生に対して受講しやすいシステムを取り入れています。

博士課程で重要なことの一つには、授業や実習の他に研究活動を展開し論文を仕上げることですが、先端医科学専攻では、研究成果は査読制度を有する専門誌に発表することが義務づけられており、学位を申請するためには最低3報の公刊論文が必要です。その内一報は学生自身が第一著者であることが必須です。最終的にはこれらの研究を基に、標準4年の修業年限内で学位論文にまとめられるよう、指導が行なわれます。

先端医科学専攻が養成しようとする人材

本専攻では医学および生命科学分野で活躍できる良識を備えた研究者、および研究マインドを持った専門医、並びに医学・生命科学の研究に必要な境界領域の専門家を養成する。

医師の場合、社会ニーズに応えるべく臨床上の専門知識および技能を修得し専門医等の資格を取得することを積極的に推奨する一方、健全な倫理観と研究マインドを備えることによって指導的能力を発揮できる人材を養成する。研究者を目指す学生に対しては、海外関連研究機関への留学を積極的に推奨し、グローバルに活躍できる人材を養成する。

学位授与基準(修得すべき能力)

  • 医学および医学と関連の深い生命科学領域の深い知識があり、研究を自立的に推進できること
  • 研究者あるいは医師として社会の指導的立場を果たすための良識と科学・生命・医療に関わる倫理観を有すること
  • これらは学位論文の審査時に同時に、最終の試験あるいは学力の確認として判定される

学位論文審査基準

  • 行われた研究が、指導教員の指導のもと自立して計画されたものであること
  • 行われた研究が、指導教員の指導のもと自立して遂行されたものであること
  • 研究成果を公刊する論文は査読システムのある科学誌であること
  • 行われた研究分野に関して造詣が深く、国際的視野の中でその研究の位置づけができること
  • 審査における「可」の判定には、主査ならびに委員全員の賛成を必要とする
  • 研究科教授会における「可」の判定には、出席した博士課程教員(D○合教員)の2/3以上の賛成を必要とする