教育研究上の目的・人材像

学科の教育方針と教育目標

教育目標

海は地球上の生命誕生の場であり、地球全体の環境を他の惑星には例をみない穏やかな状態に保ちながら、現生の様々な生物の進化を導いてきた。海は古くから環境浄化、食料生産、交易などの場として利用され、人間生活に密接に関係してきた。地球上の多様な環境と生態系、ひいては人間の生存は海なしには考えられない。しかしながら20世紀には急速な科学と技術の進歩により人口が増加し、それに伴い、陸のみならず海の開発も活発に行われるようになった。その結果、近年では海洋生物資源の減少が顕在化すると共に、沿岸域や内水面域の環境悪化が世界的な問題となっている。

1992年に「生物多様性条約」が作られ、地球上の様々な生態系における生物の多様性が人間に恩恵をもたらすことが世界共通の認識となり、国境なき生態系の保全、生物多様性の維持が必要とされる時代になってきた。また、1994年には「国連海洋法条約」が発効し、日本は「海洋保全」「海洋利用」「海洋研究」を3本柱とした「持続可能な海洋利用」を21世紀初頭の海洋政策として推進する方向を示し、領海を有する国による海の利用と管理はますます重要になってきている。

このような中、20世紀に人間が行ってきた海洋環境の汚染や生態系の撹乱・破壊に対してはいまだ十分な科学的対処がなされていない。そのため、海洋環境を保全しながら海洋生物の機能を多面的に利用していくための具体的な行動計画の推進が急務な状況にある。しかしながら、多種多様な海洋生物が持つ機能や有用物質についてはいまだ研究途上で、未知な部分が多い。一方、21世紀になって環境問題と共に開発途上国における人口増加がさらに大きな問題となっている。今後、水圏からの食料生産がこれまで以上に重要性を増すことを想像すれば、環境保全と食料生産との調和の取れた発展および海との共生を促す教育がますます重視されるべきものとなる。「海洋生物学科」はこのような現代的な問題に取り組み、海洋生物の多様性維持と海洋環境の保全、さらにはこれらを土台とした海洋生物の有効利用に寄与し、人間社会の発展に貢献するため、それに係る理論と技術とを教育することを目標としている。

教育方針

海洋生物学科では、主専攻の学科目に「水圏生物科学」「水圏保全科学」を置き、海洋生態系の構造・機能、海洋動物の行動・生態などに関連する知識、無機的環境に対する生物機能の応答と生物多様性の維持に関する知識などを、座学だけでなく多くの実験、海洋実習、フィールド調査の科目を通して修得させる。また、関連分野の学科目や、思考・分析・表現・企画能力、協調性、指導力などを養う「総合科目」の諸科目などを置き、学生が幅広い知識と専門性の高い知識・技術を修得できるように編成している。最終年次には専門の知識・技術を集大成しながら行う卒業研究(海洋生物ゼミナール、卒業研究)があり、1つの課題について個別指導を受けながら、十分時間をかけて研究することができる。本学科を希望する学生の中には海洋レジャーや水族館などにおける海洋生物との間近な体験を通して、沿岸域を中心とする水圏の環境悪化の問題や海洋動物の行動や生態に強い関心を抱いている者が少なくない。そのため博物館、水族館関係の科目もあり、「学芸員」の資格を取ることが出来る。さらに、「中学・高校教諭一種理科」の資格も取得可能である。

海洋生物学科が養成しようとする人材

これらのカリキュラムにより、生態系の保全を複合的視点で捉える教養と生物の種々の機能を人間生活の発展に応用できる専門知識を持つ人材の育成を図りたい。さらに、そうして学んだ幅広い知識と経験を活用することによって、多種多様な海の生き物と人間との共生を目指し、生物の多様性の維持と海洋環境の保全に大きな力を発揮できる人材を養成することを目標としている。

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