教育研究上の目的・人材像

海洋文明学は、「海と人の関わり」という視点から現代文明の問題を問いかけ、よりよき社会を築いていくことを模索していく、新しい分野です。人類社会は、科学技術を発展させ、今日の文明を築いてきました。しかし、その一方で現代の文明は、環境破壊や文化の荒廃、食糧問題、資源獲得競争などの文化・文明の摩擦や衝突という問題を抱えるようになっています。現代に生きるわたしたちは、こうした複雑な問題を正しく理解し、解決策を見いだしていかなければなりません。そのためには既存の考え方や知識だけでは不十分でしょう。様々な知識を集め、新しい見方が必要となります。そこで注目したのが「海から文明」を考えることです。

海洋文明学科では、「海と人」をキーワードにしながら、人間がどのように海を利用してきたのか、そしてまた海にどのような価値を見いだしてきたのか、現代に至るまでの歴史を振り返り、「海に関わってきた人間の知恵」を学んでほしいと思います。さらに今日、海の果たす役割は、私たちの生活のあらゆる面に深く関わってくるようになりました。水産資源、エネルギー資源等、海がもつ豊かな資源を枯渇することなく、また平和的に利用することが強く求められています。また海外から物資を安全に安定して運ぶためには、海の道を守ることも重要です。海を利用してきた歴史を学ぶだけではなく、「海を守る」未来社会を目指す学び方も大切です。海洋文明学は、近未来の社会を築いていく未来学だといって良いでしょう。

そのために、教育の目標として、次の3つを掲げています。

  1. 1.正しく理解する知識をもつ。まず、今、世の中で何が起こっているのかを「具体的に知ること」が大切です。情報にまどわされることなく、正しく理解するために「海」を眺めてみましょう。過疎問題を抱える離島。サンゴ礁が破壊された海。衰退する漁業と食糧問題。紛争の場となる海。海で起こっている問題は、現代文明の問題そのものです。人文・社会科学の知識を身につけ、具体的に理解する力を養っていきましょう。
  2. 2.現場体験から共感する心を養う。海は、いったい誰のものでしょうか。私たちは、「公共性」について深く考える時にきています。また異なるライフスタイルと価値観、衝突する利害、ともすれば対立する社会関係をどうすれば乗り越えていくことができるのか。こうした問題を解決するためには、現場での学習が必要です。海辺の暮らしと文化、海を利用した観光、海洋ビジネスや地域づくり。こうした海の生活文化を体験し、新たな取り組みに参加することによって、海と人の関わりを、現場に生きる人たちと共に感じ、考えていくことを養っていきましょう。
  3. 3.社会の中で果たすべき役割とは何なのか。海と共に生きるための社会的取り組みについて、歴史的に捉え、また現在の様子を体験することは手段であって目標ではありません。大切なことは、学科での学びから、今後、ひとりひとりが世の中でどのように動いていくべきなのかをしっかりと自覚できるようになることです。てごたえのある学びを通して、ひとりひとりの海洋文明学をつくりあげていきましょう。

海洋文明学科が養成しようとする人材

海洋文明学科は、「海洋」との関わりから文明を捉えるという発想に特徴があります。また総合的な学びとして社会的取り組みの実際を体験していくことになります。そのことによって社会の中で必要とされる発想力や倫理・責任感の伴なった行動力をもつ人材を育成していくことを目標としています。

具体的には、観光業、マスコミ、海事産業等の一般企業。公務員、公益法人、NPO等民間団体等の公共性のある職業。大学院進学を経て研究者等の高度専門的職業。こうした分野への進路を目指しています。

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