教育研究上の目的・人材像

教育方針と教育目標

科学技術の発展や世界人口の増加により大量のエネルギー消費が避けられない昨今、エネルギー資源の枯渇や炭酸ガスによる地球温暖化など、早急に取り組むべき多くの課題が存在する。全世界が問題解決の糸口を模索する中で、炭酸ガスを放出せず、安定なエネルギー供給が可能な原子力は有力なエネルギー源の一つと考えられる。2011年3月の東北大震災に伴う東京電力福島第一原子力発電所事故によって我が国の原子力エネルギー利用の再考が迫られているが、エネルギー問題を取り巻く環境は依然として従来のままである。日本においては、世代交代に伴う原子力人材の不足が深刻化しており、さらに福島原発事故によってそれに対処できる人材の供給が急務となっている。

このような社会的情勢を踏まえ、本学科では専門的知識の取得だけでなく、エネルギー問題全般に対する関心を深め、さらに実践的能力を養うことを教育方針とし、①原子炉工学分野、②放射線応用分野、③エネルギー応用分野の3分野を骨格としたカリキュラムを構築して、原子力・放射線の高度技術者を養成することを教育目標としている。各分野のカリキュラム構成を下記に示す。

(1)原子炉工学分野

原子力工学の要である原子炉物理、原子炉工学に加え、再処理化学やバックエンド工学など、ウラン資源の再利用を含めた講義を開講することで、原子燃料サイクルを完結できるカリキュラム構成となっている。さらに、原子力プラント、原子力安全工学など原子炉の安全性についての講義にも重点を置く。

(2)放射線応用分野

放射線は、原子力分野のみならず医療分野をはじめ、工業、農業等様々な分野に利用されている。多方面での応用が可能となるように、放射線分析科学や放射線医用工学などの講義を開講し、放射線の基礎から応用までを修得できるカリキュラム構成となっている。

(3)エネルギー応用分野

次世代原子炉や核融合炉などエネルギー開発の最前線では、それらを構成する材料の開発が不可欠である。エネルギーシステム概論、エネルギー材料物理、エネルギー物性科学などを配置し、材料開発の基礎から最先端技術までを修得できるカリキュラム構成となっている。

知識の修得だけでなく実践的能力を養うために、講義としての座学以外に、演習科目や実験・実習科目を多く設置している。また、国家資格である放射線取扱主任者資格の取得を促進するための講義や実習科目を開講している。カリキュラムを修得する中で、(1)指定科目から40単位以上の修得、(2)卒業研究の修了、(3)放射線取扱主任者(第1種または第2種のいずれか)または技術士(原子力・放射線部門)の試験の合格、の3つの要件を満たすことで、「原子力マイスターコース」の修了を認定する。原子力マイスターコースは、卒業要件よりも高いレベルを目指しており、ここで修得した学力や技術的実践力は、原子力分野で即戦力となりうるレベルであることを示している。

原子力工学科が育成しようとする人材

原子力工学は、物理・化学・数学などあらゆる分野の知見が集約された学問領域であり、その基盤技術が多岐にわたることから「総合技術」と言われる。総合的であるがゆえに複雑化しやすく、一面的な理解が結果として大きな技術的問題を生むことがある。また、原子力分野で発生する問題の多くは、人的要素が関わっており、技術者として高い倫理観と幅広い視野が要求される。これらに基づき、本学科では、下記に示す「分解力」、「分析力」、「統合力」を育成し、総合技術を担うことのできる原子力高度技術者を養成する。その証として、次の3つの要件を満たすことで 「原子力マイスターコース」の修了認定を行う。(1)指定科目から40単位以上を取得する。(2)卒業研究を修了する。(3)放射線取扱主任者(第1種または第2種のいずれか)または技術士(原子力・放射線部門)の試験に合格する。卒業後に即戦力として社会で活躍できるよう、コース修了認定を目指して励んで欲しい。

原子力高度技術者として育成する3つの力

  1. 1分解力

    問題がどのような現象から成り立っているかを分解できる力。分解力を養うために、各々の現象を理解するための基礎知識を身に付ける。

  2. 2分析力

    分解した現象が個々に適正に機能している状態かどうかを判断・分析し、問題点が抽出できる力。十分な基礎知識を基に、各々の現象のつながりを分析することで、問題の要因を見つける。

  3. 3統合力

    問題を「分解」し、その要素を「分析」した結果に基づき、社会にも受け入れられる解決策として導き出す力。分解・分析した要素を統合し、再構築する力を養うことで、問題解決の手段や方法を知ることができる。

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